2023年10月14日

久し振りでNHKTVのプロフェッショナル・仕事の流儀の「ふたりのシネマ」を録画で見て「最後の作品などと言うものは無い」という山田洋二の言葉に得心した。

言うまでもなくふたりとは山田洋二(92歳)と吉永小百合(78歳)。

ところで、7月12日付け本コラムにこの春(遊行の門:75歳に辿り着いた歳)に冊子「続・続 私的アンソロジー”しあわせの構図 ”」を発刊したことを掲載した。

そこに70歳で発刊した冊子「続 私的アンソロジー”しあわせの構図 ”」の時とは異なり、一人で原稿の作成、編集、校正すべて自らの手で実施したことからその装丁に素人感が拭えないかもしれないことも記した。また、その後の感慨として心身の衰えつまり作業能力の「質とスピード」の衰えを実感し、さすがに「これが最後かな~」という思いを持っていた。

そのような折にこの番組を見ることとなり上記の山田洋二の言葉に共感した次第。

番組では吉永もこれまで共演を通じて俳優としてのあり様を学んだ先輩(高倉健や渡哲也など)が他界し、またセリフを覚える能力の衰えもあり秘かに「山田監督の映画だったら、これで辞められる、これが現役最後の作品に・・・」という思いを持って臨んでいたと語っていた。

体調が思わしくない山田の映像も随所に出てきて、それでも最後に語った『最後の作品は自分で決めるものではない。常に次の作品を・・・とめざすものであり、結果出来なかったな~ということでないか』がこころに残った。

そして、この映画「こんにちは、母さん」の制作現場を通じて吉永も最後の作品にしたいという考えが変わっていくプロセスが視聴者に示され、撮り終えたころに吉永も」次の作品へ臨む気持ち」を語っていたのが印象的。