2015年8月9日

最近眠りに着くまでの間に宮本輝の本を読み返している。

草原の椅子。
1999年(当方がUターンした年)に書籍化され確か2年前に映画化されているはず。
日常の中で引っかかったり何か変だと思っていてもそれを旨く言葉にできず、消化不良にある状態を解消してくれる箇所を上巻の中から抜粋してコメントしてみる。

*・・・「テレビ局は、こんな馬鹿ばっかり集めてきて、テレビで下品な言葉や画面を垂れ流してるんだなァ。四六時中、こんな番組を流してたら、これが当たり前なんだって勘違いする女の子が、どんどん増えていくよ。日本の青少年が、馬鹿になっていくはずだよ」・・・

⇒残念なことに今はもっと進化?してこの傾向は続いている。

*・・・「人間の機微なんて知らないやつらが、国を治めたり、権力を握ったりしたから、この日本はここまで腐ったんだな」子供のときから勉強がよくできて、ずっと勉強ばかりして、日本で最高と言われる大学を出て、国家権力をうしろ盾に社会人となり、そのまま歳だけくっていった連中が学ばなかったものは何か。それは人間の機微なのだ。・・・
人間は弱くて、失敗をする生き物だということを知らず、許したり許されたりということを学ばずに来た者たちが、国を動かしてはいけないのだ。人間をさばいてはいけないのだ・・・

⇒機微・・・本当に持ち合わせたいと思う。福島はコントロールされていると嘯いて呼び込んだ東京五輪招致に浮かれ、国立競技場の建設のゴタゴタ・・・そして、「見直した方がいい。もともとあのスタイルが嫌いだった」などとのたまう組織委員会会長はかつて国を動かしていた・・・「なんという体たらく」か。

*・・・この国は、いざとなったら何もしてはくれないのだと日本中の人々が知ったのだ、と。そのような国が停滞したのは当たり前のような気がして、憲太郎はなぜかほくそ笑み、「五十年前の、焼け野原に似た状態に戻らなきゃ、この国の網の目みたいに張りめぐらされた権力と既得権の構造は失くならないんだ」と胸の中で言った。・・・

⇒阪神淡路大震災の後で書かれたこの小説だが東日本大震災が起こって4年が過ぎている今もそのまま同じように感じられるこの日本という国。